GINGA MAGAZINE

幻の魚と夢への挑戦

  • 2022.03.27
  • COLUMN

EFRICA中嶋です。釣りキチ三平は私が生まれる前に連載がはじまっていますが、今読んでも新鮮さを感じます。少年が夢の魚を求める姿、そして大人顔負けの釣りを展開するところに子供ながらにシビレたものです。その釣りキチ三平の中で幻と言われていた魚、イトウ。日本最大の淡水魚で漢字では魚へんに鬼と書きます。20196月にトライするチャンスがあり、聖地、北海道猿払へ向かいました。釣れている時期に合わせて組んだスケジュールでしたが、例年より進行が1ヶ月早く、いい時期がすでに終わってしまったかもしれないという状況。案の定、23日のチャレンジは何の手応えもないまま最終日に。しかし、終了時間ギリギリにドラマは待っていました。突如ひったくられるように曲がるロッド、無我夢中でファイトする私を見て周りの釣り人が集まります。そしてその中のひとりが“イトウだ!”と。重さに耐えながら魚を浮かし、波を味方につけて後ずさりしながら寄せました。そしてついに白波の中から姿を見せたのは紛れも無いイトウでした。しかも太くデカい。タイムリミットギリギリの奇跡。頭が真っ白になりました。この魚に逢うためにいままで釣りをしてきたのかもしれない、夢が今、自分の手に。半信半疑のふわふわとした気持ちの中、写真撮影を手短に済ませ、蘇生をはかり、静かにリリース。その感触を私の手に残し、大きな魚体をゆっくりとくねらせて海へ戻っていきました。あの光景が目に焼き付いています。幼き頃に夢見た魚に挑戦してみて、得たものは計り知れません。夢へチャレンジする大切さを教えられた最高の出会いでした。今自分がこうして新しい人生にチャレンジしているのもあの魚との出会いが影響しています。自然の中で生きている絶対的なあの姿、迫力。また逢いにいきたいです。


当時の映像 ショートムービー


https://www.youtube.com/watch?v=gMu1jQXNc68


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